ピクノジェノールとストレス

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はじめに

 電話口に出ると、彼はいつも予算内で納めよう、一定の時間枠内で仕事を終わらせようとしてプレッシャーを感じていた。
電話で話をしている間はタバコを吸っていて、息を吸う昔が、毎回、電話からよく聞こえた。
 サムは、ストレスを抱えたマネージャーの典型例だった。
チェーンスモーカーで、よく胃炎になっていた。
リラックスするのは、仕事のあとにお酒を飲むときだけだった。
年齢は40代半ば。あるとき突然、何の前触れもなく、事務所で仕事をしていたサムは、かつてない痛みを頭に覚え、その数週間後に病院から退院したときには、話し方や動き方を習得しなければならなくなっていた。
重度の脳卒中の発作で、記憶と言語を司る脳の中心が破壊されてしまったのだ。
まるで子供のように、彼は初めからやり直さなければならなかった。彼のキャリアは終わり、知的障害が残った。
 もちろん、これと同じ運命に陥りたいと思う人はいない。
もっと健康的なライフスタイルを選んで、こうした状況にならないよう予防することが賢明だ。
しかし、別の行動をとるべきだと分かっている時でも、ほとんどの人間はそうすることができない。
そして、例えば次のような指示を医者から出されるまで、放っておく。
すなわち高い血圧を下げる薬を飲みなさい、高いコレステロール値を下げる薬を服用しましょう、動脈が詰まらないように血液の抗凝結薬を飲みましょう、胃炎治療のため酸中和剤も出しておきましょう、といったような。

ピクノジェノールの血栓予防効果

 こうした薬剤はすべて、アテローム性動脈硬化症の進行を遅くするため、血栓症予防のため、そして最終的に突然の脳卒中や心筋梗塞の危険を減らすために、服用すべきものだ。
心循環器疾患は、私たちの生命にとって最大の危険因子である。
動静脈の健康を保ち、循環がうまく機能するようにライフスタイルを管理することができれば、私たちの平均余命は相当延びるだろう。
もちろん、血管系の損傷に関連する全ての疾患は生じてからそれと戦うよりも、早い段階から身体の健康を維持しようとするほうが良い。
 ここでピクノジェノールは多くの可能性を提供する。
血栓症予防のため、いくつかの薬を飲んで高血圧や高コレステロールを治療しようとする代わりに、神助食品を定期的に摂取して健康的な循環を維持するとよい。
ピクノジェノールは軽度の高血圧を正常化すること(Watsonら、2001)が明らかにされている。
高血圧の患者は、降圧剤の服用量を減らすことができた(Liuら、2004)。
さらに、ピクノジェノールの摂取によって悪玉コレステロール(LDL)は減り、善玉コレステロール(HDL)は増え、その結果、アテローム動脈硬化指数は、より軽度のアテローム性動脈硬化症状を示す数値へと変わる(Devarajら、2002、Durackovaら、2003、Koch2002)。
高コレステロールに加え、酸化的ストレスもアテローム性動脈硬化症を引き起こす主要原因だ。
強力な抗酸化力を持つピクノジェノールは、血液の抗酸化能力をかなり向上させる(Devarajら、2002)。
ピクノジェノールは、血液の血小板が凝集するのを防ぐことで、血栓症予防にも役立つ(Putterら、1999)。
 したがってピクノジェノールを摂取することで、アテローム性動脈硬化の諸症状や高血圧を引き起こす日常生活のストレス因子から血管と心臓を守る可能性も得ることになる。

ピクノジェノールの胃潰瘍、心臓病予防効果

 胃潰瘍から身を守るためにピクノジェノールをつかうことは、1992年以来、そして遡ればカテキンがストレス潰瘍の形成を減少させるという観察報告(Lorenz1975)以来、一般に知られている。
症状が出たあとでいくつかの薬を飲む代わりにピクノジェノールを補給することは、健康を維持するために早期予防措置をとるという方法だ。
 ピクノジェノールは、心臓の健康向けの複合製品に理想的な成分だ。
心筋により多くのエネルギーをもたらすコエンザイムQ10とともに、ピクノジェノールの売り出しは合衆国で成功をおさめている。
抗酸化作用のあるビタミンCおよびEとの組み合わせや、いくつかのアスコルビン酸塩との複合も、アメリカの健康食品店で非常によく見かけられる。
葉酸とアミノ酸を加えたピクノジェノールは、循環系疾患の原因となる別の因子、ホモシステインの根絶に使われている。
他の複合製品では、基本的に、血管の健康目的ではピクノジェノールをオメガ3脂肪酸とL-カルニチンと組み合わせ、酸化的ストレスと戦うためにはアルファリボ酸、グルタチオン、緑茶抽出物と組み合わせている。
ピクノジェノールをイチョウ葉、チョウセンニンジン、ウコンなど他の植物抽出物や柑橘類のフラボノイドと混合したものも、アメリカのスーパーマーケットの棚でよく見かける。
別の製品では、ピクノジェノールを、抗酸化作用のあるビタミン、バイオフラボノイドであるルティンやケルセチンと組み合わせている。
 そうした組み合わせのピクノジェノールはタブレット状でもカプセル状でも高い安定性を示すので、ピクノジェノールを複合した多種類の製品が世界中で手に入る。

参考文献

1)Devaraj,S.ら:「SupplementationwithaPineBark ExtractRichinPolyphenoIsIncreasesPlasmaAntioxi dantcapacityandAltersthePlasmaLipoproteinProfile(ポリフェノールに富んだ松の樹皮抽出物の補給により血祭の抗酸化能力が高まり血祭のリポタンパクの外形が変化する)」,Lipids,37(10),931-934(2002)
2)Durackova,Sら:「Lipidmetabolismanderectile functionimprovementbyPycnogenolR,extract from thebatkofPinuspinasterinpatientssuffering from erectiledysfuncdon-apilotstudy(勃起障害患者に見られる、フランス海岸松の樹皮抽出物PycnogenolRによる脂質代謝と勃起機能の改善一予備的研究), Nutrition Research,23,1189-1198(2003)
3)Koch,R:「ComparativestudyofVenostasinRand PycnogenolRinchronicvenousinsufBciency(慢性静脈不全におけるVenostasinRぉよびPycnogenolRの比較研究)」,Phytotherapy Research,16,1-5(2002)
4)Liu,X.:「PycnogenolR,Frenchmaritimepinebark extract,improvesendothelialfunctionofhypertensive patients(フランス海岸松樹皮抽出物PycnogenolRが 高血圧患者の内皮機能を改善)」,Life Siences,74, 855-862(2004)
5)Lerenz W.ら:「Effects of(+)-catechin on several enzymes of histamine metabolism and on stress ulcer formationinthefemalerat(メスのラットにおけるヒスタミン代謝酵素およびストレス潰瘍形成に与えるH-カテキンの効果)」,Naunym Schmiedebergs ArchivPharmacology,287,Suppl.,R62(1975)
6)Putter,KHM.ら:「InhibitionofSmoking-InducedPlateletAggergationbyAspirinandPycnogenol(アスピリンおよびピクノジュノールによる、喫煙によって引き起こされる血小板凝集の抑制)」,ThrombosisResearch,95,155-161(1999)
7)Watson,RRら:「Arandomized,double-blind place-bo-controlled,prospective,16week cross over study todeterminetherole of Pycnogenol Rinmodifying bloodpressureinmildlyhypertensivepatients(軽度高血圧患者の血圧改善におけるピクノジェノールの役割測定のための、16週間の無作為抽出による二重盲検プラセボ対照プロスペクティブ実験研究)」,NutoritionReseach,21,1251-1260(2001)

ピクノジェノールの静脈疾患に対する効果

ピクノジェノールは、フランス海岸松樹皮から抽出される乾燥エキスで、水溶性バイオフラボノイド、カテキン、タクシフォリン、フェノールフルーツ酸と、構造や鎖の長さの異なるプロシアニジンを含有している(Rohdewald,1998)。
ピクノジェノールの有効性は、レビューや本等を含む30以上の公刊物により立証されており、臨床現場においても利用されている。
 ピクノジェノールが強力な抗酸化作用を持つことから、静脈疾患に対する効果およびその作用機序を明らかにするため、いくつかの臨床試験が行われた。
 本レビューでは、静脈学におけるピクノジェノールの知見を紹介する。