コスメシューテイカルビクノジェノール ピクノジ工ノールの美肌効果

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要約

ピクノジェノールは、フランス海岸松樹皮(Pinus pinaster)から抽出されるエキスで、様々な生化学作用を有している。
また、それらの相乗効果により、非常に興味深い美肌効果を発揮する。
ピクノジェノールは、最も強力な天然抗酸化物質の一つで、全ての種類の酸素ラジカルを中和させることが確認されている。
また、ビタミンCラジカルの還元作用、ビタミンEの酸化防止作用により、これらビタミンの生物活性を延長させる働きもある。
さらに、色素沈着過度(肝斑/しみ)を患う女性に、ピクノジェノールを1カ月間投与したところ、色素沈着の濃度およびサイズが減少した。
 ピクノジェノールには、コラーゲンやエラスチンと強く結合し、それらの酵素による分解を阻害する働きがある。
また、微小循環の改善作用により、肌への酸素や栄養素の運搬および、老廃物の排出を促す働きがある。
このような特異な作用により、ピクノジェノールを、健康的で若々しい肌の維持に貢献する、コスメシューテイカル(美容食品)として捉えることができる。
 ピクノジェノールの強力な抗炎症作用もまた、報告されている。
ボランティアに対して、ピクノジェノールを経口投与したところ、紫外線照射に対する最小紅斑量の上昇が見られた。
またin vitro試験では、ピクノジェノールの成分が、接着分子や、サイトカインといった、NF-kB調節の炎症性媒体の発現を抑制することが確認されている。
これらの結果から、ピクノジェノールの光老化防止作用が示唆される。

はじめに

ピクノジェノールは、フランス海岸松(Pinus prinster)の樹皮から摘出される、標準化水溶性エキスで、フェノール物質、タクシフォリン、カテキン、プロシアニジンオリゴマー、さらにフェノール酸(ヒドロキシ安息香酸、プロトカテク酸、ガリツク酸、バニリン酸、p-クマリン酸、カフェ酸、フエルラ酸)を含有する(Rohdewald,2002)。
ピクノジェノールは、ホーファーリサーチ社の登録商標であり、その抗酸化作用や健康な心血管システムの維持に対する有効性が注目され、世界各国で主にサプリメントとして使用されている。
 ピクノジェノールは、すべてのフリーラジカルを不活性化する(EIstner&Kleber,1990)、最も強力な天然抗酸化物質の一つである(Noda et al., 1997)。
また、ビタミンCラジカルをビタミンCに還元する作用(Cossinsg et al.,1998)、ビタミンEの酸化防止作用(Cirgili et al.,1998)も有する。
さらに、細胞内抗酸化酵素であるGSH(グルタチオン)、グルタチオン・ベルオキシターゼ、スーパーオキサイドジムスターゼ、カタラーゼの産生を促進することで、細胞自身が持つ抗酸化力を強化する(Wei et al.,1997)。
ピクノジェノールのヒトへの経口投与により、抗酸化能力が著しく上昇する上とも確認されている(Devaraj et al., 2002)。
また、ピクノジェノール中の分子量の小さい成分の尿中排出は、ピクノジェノール摂取2時間後がピークで、分子量の大きな成分は8時間後ということも明らかにされている(Gross-Duweler &Rohdewald,2000)。
 ピクノジェノールの安全性は、広範囲に渡り確認されており、急性毒性は非常に低く、慢性毒性、変異原性、催奇形性、周産期毒性、およびアレルギー性は無いことが確認されている(Rohdewald,2002)。
また臨床試験において、ピクノジェノールを360mgまで摂取しても安全であるということが確認されている。
稀にピクノジェノールの摂取により胃腸の不快感が起こることがあるが、これはピクノジェノールを食後あるいは食事と一緒に摂取することにより防ぐことができる。
 ピクノジェノールはその強力な抗酸化力に加え、さらに二つの基本的な生化学作用を有している。
一つは、血小板凝集抑制作用および微小循環改善作用を持つ血管内皮一酸化窒素(NO)の産生を促進する作用である。
微小循環の改善は、酸素や栄養分の運搬、また老廃物の排出を促進するため、健康な肌の維持に大きく貢献する。
 二つ目は、ピクノジェノールのコラーゲン、エラステンとの結合作用である。
コラーゲン、エラスチンとの結合作用は、毛細血管強化の作用機助として提示されてきたが、また同時に美肌維持の重要な役割を果たしている。

1・結果と討議

可溶化コラーゲン、エラスチン、粉末の皮膚モデルおよび、オパルミンを0.2mg/mlのピクノジェノールで培養し、結合しなかったピクノジェノール量を高度測定法にて測定した結果、ピクノジェノールの結合率はそれぞれコラーゲンに33.9%、エラステンに41%であった。
また、皮膚がコラーゲンやエラステンで構成されていることから推測できるように、粉末の皮膚モデルへの結合率は37.9%であった。
一方、コントロールとして使用した不特定タンパク質(オパルミン)への結合率は2.1%と非常に低かった(Grimm&Hogger,2002)。
この試験により、ピクノジェノールの、肌と血管を構成する最も重要な成分への結合作用が明らかにされた。
 また、コラーゲンやエラスチンの分解防止作用を確認するため、これらタンパク質の遊離アミノ基を全てコハク酸化し、呈色反応を用いてコラーゲンとエラステンの分解率を測定した。
マトリックスプロテアーゼ1(MMP-1、コラゲナーゼ-1)によるコラーゲンの分解は、濃度依存的にピクノジェノールにより抑制された(Grimm&Hogger,2002)。
また同様に、MMP−2、MMP−9によるエラスチンの分解抑制も確認された。
これらの効果により、ピクノジェノールが肌に弾力性と張りを与えることが考えられる。
 また、ピクノジェノールのコラーゲン、エラステンに対する物理的相互作用として、マトリックスプロテアーゼ(MMPs)の活性中心が基質結合部位に到達するのを防ぐと考えられる。
この、ピクノジェノールのコラーゲンとの結合作用は、コラーゲンの構成成分であるアミノ酸のプロリンへの高い親和性によるものである(Hagerman&Butler,1981)。
ピクノジェノールは強力なフリーラジカル除去作用があるため、コラーゲンに結合したピクノジェノールは、ラジカル誘発のコラーゲン構造の破壊を抑制することができる。
フラボノイドにこれらの作用があることは、すでに報告されている(Mon−boisse et al,.1983)。
 健康なボランティアに対して行われた試験では、ピクノジェノールの経口摂取により、紫外線照射に対する最小紅斑量(MED)が上昇することから、ピクノジェノールが紫外線による肌のダメージを防止することが報告されている(Saliou et al.,2001)。
21名(年齢:23〜29歳)のカフカズ人ボランティアにピクノジェノールを1日1.1mg/kg、4週間投与し、ピクノジェノール投与前と後の2臥MEDの測定を行ったところ、平均最小紅斑量は21.52mJ/cm2から34.62mJ/cm2へ有意差を持って上昇した。
またその後、1日のピクノジェノール投与量を1.66mg/kgに増加させ4日滴さらに投与した結果、最小紅斑量が39.62mJ/cm2へ上昇した。
このことから、ピクノジェノールが濃度依存的に肌において、抗酸化作用を発揮するといえる。
 本研究においてまた、ピクノジェノールがどのように肌の炎症を抑制するのかについても、炎症性のレドックス調節転写因子であるケラチノサイト中NF-kBおよびAP−1の阻害作用があることが報告されている(Saliou et al.,2002)。
また同様に、ヒトの血管内皮細胞において、ピクノジェノールがNF-kB調節の接着分子発現に不可欠な過程を抑制することも確認されている(Peng et all.,2000) ピクノジェノールの経口摂取により、ヒトの皮膚におけるレッドクス調節遺伝子発現が抑制されるということから、経口摂取しピクノジェノールの成分が皮膚に吸収されることが明らかにされた。
さらに、ピクノジェノールが、MEDを有意差を持って上昇させる程に、皮膚でフリーラジカル中和作用を発揮していることが確認された。
 また、30名の女性に対して行われた試験において、ピクノジェノールが色素沈着過度(メラスマ)を改善させることも確認されている。
1カ月間、ピクノジェノールを1日75mg経口投与した結果、色素沈着のサイズおよび濃度が有意差を持って減少した(Nietal.,2002)。

2・まとめ

皮膚は、自身を酸化ストレスから保護するために、紫外線誘発の酸化ダメージを防御する抗酸化システムを備え持っている。
肌細胞はその抗酸化能を、ビタミンE、アスコルピン酸塩、グルタチオン、βカロテン等の低分子抗酸化物質と同様に、GSHベルオキシターゼ、カタラーゼ、スーパーオキサイドジムスターゼ等の酵素に頼っている。
しかし、紫外線照射により、抗酸化防御能だけでは肌を保護することができなくなり、酸化ストレスが引起されることとなる。
Salliouらの研究によりピクノジェノールが皮膚の抗酸化防御能を助け、光老化防止作用に有効に働くことが確認された。
(L.Appl.Cosmetal,20,241-246(October/December2002)に掲載)

3・訳者あとがき

今回紹介した研究結果等に基づき、日本においてピクノジェノールは‘飲む化粧品’として最近注目を浴びている。
また、ピクノジェノールの美肌効果に関しては、経口摂取だけでなく塗布での研究報告も増えており、これらに伴いピクノジェノール含有の化粧品も増えてきている。
 女性をターゲットにした美容市場で、内側と外側両方からの美容を、その高い有効性に基づき提供できるピクノジェノールは、まさしく’コスメシューティカル’といえる原料である。

参考文献

1)CossinsE,LeeR,PackerL:ES Rstudies of vitaminC egeneration,Orderofrea。vityofnaturalsourcephytochemical preparations.Biochem.Mol.Biol Int.,45,583-598(1998)
2)DevardS,Vega-LopezS,Kaul N,Schonlau F,Rohde-Wald P,Jialal I:Supplementation with a pine barkextract rich in poryphenols increases plasma antioxi-dant cpacityr and alters the plasma lipoprotein profile,lipids,37,9310934(2002)
3)EIstner EF,Keber E:Fhnoids in Biology andMedicineV:Current issues in flaavonoidresearchNational University of Sinfaporepress.p.227−235(1990)
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5)Grosse DuWeler K,RohdewaldP:Urinary metabo-lites of French maritime pine bark extract in humans.Pharmazie,55,364−368(2000)
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14)WeiZH,PengQLLauBHS:Pycnogenor@enhancesCe11antioxidantdefences.Redox Repori,3,219−224(1997)
Frank Schonlau
1991年ミュンスター大学(ドイツ)大学院化学・生化学専攻修了、1995年同大学にて博士号取得(博士論文;がん治療のための免疫複合体)。
博士号取得後、同大学およびケルン大学(ドイツ)にて慢性炎症、haemopoiesis、脈管炎、血管形成に関する研究を行う。
現在、ホーファーリサーチ社研究開発担当。

ピクノジェノールとストレス

電話口に出ると、彼はいつも予算内で納めよう、一定の時間枠内で仕事を終わらせようとしてプレッシャーを感じていた。
電話で話をしている間はタバコを吸っていて、息を吸う昔が、毎回、電話からよく聞こえた。
 サムは、ストレスを抱えたマネージャーの典型例だった。
チェーンスモーカーで、よく胃炎になっていた。
リラックスするのは、仕事のあとにお酒を飲むときだけだった。
年齢は40代半ば。あるとき突然、何の前触れもなく、事務所で仕事をしていたサムは、かつてない痛みを頭に覚え、その数週間後に病院から退院したときには、話し方や動き方を習得しなければならなくなっていた。
重度の脳卒中の発作で、記憶と言語を司る脳の中心が破壊されてしまったのだ。
まるで子供のように、彼は初めからやり直さなければならなかった。彼のキャリアは終わり、知的障害が残った。
 もちろん、これと同じ運命に陥りたいと思う人はいない。
もっと健康的なライフスタイルを選んで、こうした状況にならないよう予防することが賢明だ。
しかし、別の行動をとるべきだと分かっている時でも、ほとんどの人間はそうすることができない。
そして、例えば次のような指示を医者から出されるまで、放っておく。
すなわち高い血圧を下げる薬を飲みなさい、高いコレステロール値を下げる薬を服用しましょう、動脈が詰まらないように血液の抗凝結薬を飲みましょう、胃炎治療のため酸中和剤も出しておきましょう、といったような。