アンチエイジングの切り札として

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はじめに

年を取るにつれて、様々な疾病が徐々に我々の眼に影響を及ぼすようになる。原因の一つとして、眼の中で光に最も敏感な部分である網膜と黄斑の欠陥が挙げられる。
眼は紫外線に絶え間なくさらされることで、フリーラジカル(活性酸素)と酸化ストレスが生じ、網膜細胞と網膜の中心に存在する黄斑が損傷を受ける。フリーラジカル(活性酸素)を除去するには、高濃度の抗酸イヒ物質が必要となる。年を取ると、細胞内の抗酸化雌用をする防御組織の働きが鈍くなるため、老化に関するフリーラジカル理論によれば、抗酸化物質の補給が、より長く健康を保つのに有効とされる。
ピクノジェノールは、あらゆる種類のフリーラジカル(活性酸素)を不活性化、さらにより多くの抗酸化物質を作るよう細胞を刺激するため、ピクノジェノールを摂取したボランティアの血液の抗酸化機能は、明らかに増進した。
このように血液の抗酸化機能が増大することで、眼の細胞も保護されるはずで、ピクノジェノールの摂取により、黄斑の退化も遅くなるはずである。
加齢は、血管の健康状態の衰えとともに、高血圧、アテローム性動脈硬化症、血栓症を引き起こし、大きな血管だけでなく、眼の中の小血管にも影響を及ぼす。網膜症では、眼への栄養供給を助ける毛細血管が、網膜で壊れやすくなり、血液細胞と脂質が漏れ、光を感知する細胞が衰え、視力を失う。このリスクは特に、糖尿病性網膜症の場合に高い。糖尿病の罹患が蔓延しているため、糖尿病性網膜症は、予防可能な失明の主な原因になるのは必至である。
ピクノジェノールは、次に述べる2つの機序で、高齢者だけでなく糖尿病患者の眼にも有効に作用する:1つ目の予防法は、フリーラジカル(活性酸素)の不活性化で、2つ目は、毛細血管を強化する効果である。
ピクノジェノールは、フランス海岸松樹皮の規格化されたエキスで、ホーファーリサーチ社により独占販売されている。

ピクノジェノールによる網膜脂質の保護

Cbidaらは、いくつかの抗酸化物質を用いて、網膜の繊細な脂質に対する抗酸化効果を検証した。
その結果、検証した抗酸化物質のうち、ピクノジェノールが、最も効果のある天然成分であることが分かった。抗酸化作用のあるビタミンCとE、α−リポ酸、補酵素QlO、ブドウ種子抽出物の網膜の脂質に対する抗酸化効果は、ピクノジェノールに比べると、明らかに小さかった。この結果により、ピクノジェノールは、眼が酸化で損傷を受けるのを、効果的に予防するといえる。またピクノジェノールを補酵素QlOと混ぜた場合、抗酸化効果に相乗効果が認められた。

ピクノジェノールは眼の損傷した毛細血管壁をふさぐ

ピクノジェノールの基本的な特性の一つに、たんばく質、特に、毛細血管壁の構造要素であるコラーゲンとエラステンに対する高親和性がある。動物実験では、ピクノジェノール投与後、毛細血管の漏れの修復を実証することができた。糖尿病性網膜症患者に対する臨床試験では、蛍光眼底造影を用いて観察したところ、ピクノジェノールの摂取により血管の修復がみられた。一方、偽薬の摂取では効果は認められなかった。

眼中の微小の出血と黄斑の処置

糖尿病と高血圧は、網膜内の毛細血管の損傷によって引き起こされる。いくつかの臨床試験では、ピクノジェノールの摂取は、眼中の微小の出血を減らすのに大変役立つことを示すことが出来た。眼中の微小出血を患う患者(結膜下出血)34名に、一般試験で、ピクノジェノール60〜90mg/日を3〜8カ月間摂取してもらった。そのうち、6名の患者は完全に出血が止まり、26名の患者は症状が明らかに減り、2名は効果が認められなかった。
Magnardらによって行われた他の一般試験では、網膜症、黄斑、あるいは硝子体の出血を患う患者40名に、ピクノジェノール40〜80mgを6〜24週間摂取してもらった。黄斑のある患者10名に、微小出血の迅速な吸収作用が見られ、眼科医の診断で結果は良好と判断された。硝子体の中が出血している患者12名のうち、8名は、出血が完全に止まり吸収された後、視力が回復した。糖尿病性網膜症患者10名は、視力がわずかに改善した。様々な理由で眼中に出血がある患者8名は、ピクノジェノールの摂取後、良好な結果を得ることができた。

ピクノジェノールとCalcium do-besilateの比較

Calcium dobesilate(Dexium)は、欧州では糖尿病性網膜症の薬として登録されている。二重盲検法試験では、糖尿病性網膜症患者32名に対して、無作為に従来の薬かピクノジェノール80mgのいずれかを処方した。6カ月の調査期間の終わりに、治療の成果をドイツ・ビュルツブルグの大学病院の眼科医による委員会に評価してもらった。治療前後の網膜の写真を比較したところ、糖尿病性網膜症の状態に改善が見られた。ピクノジェノール80mgで、Calcium dobesilate 1000〜1500mgと同等の効果が認められた。

多様な網膜症患者に対する二重盲検法試験

二重盲検法試験により、ピクノジェノールの適用が糖尿病以外の他の疾病による網膜症にも効果が認められた。Spadeaらの調査では、糖尿病、高血圧、アテローム性動脈硬化症による網膜症の患者が登録した。この調査は、患者20名に対して、偽薬かピクノジェノールのいずれかの治療をする二重盲検法試験の時期と、別の患者20名に対して、ピクノジェノールで治療をする追加の公開の時期から構成された。
ピクノジェノール摂取グループは、2カ月間、ピクノジェノール50mgの錠剤を3回/日(=150mg/日)摂取した。眼底の発達を、客観的な数値で得るために、様々な技術、検眼鏡検査、蛍光眼底造影、網膜電図写真を用いて計測した。治療前後に、視力と視界を測定した。眼底検査では、ピクノジェノールで治療を受けたグループに、統計的に有意な改善が見られた。前述のように、蛍光眼底造影では、血管透過性が著しく減少することが実証され、血液網膜関門が改善された。網膜電図写真でも、ピクノジェノールグループでは、網膜の統合性と機能の改善が認められた。偽薬を処方された患者は、網膜症により視力低下が進行したことが分かった。その一方、ピクノジェノールを処方された患者では、顕著な改善が明らかだった。治療効果は、治験責任医師らによって得点され、ピクノジェノールグループの患者のうち53%が、「良いあるいはとても良い」、偽薬グループでは30%が「良い」だった。忍容性は、両方の治療グループ共に優秀で、ネガティブな作用は、報告されなかった。

まとめ

臨床試験での治療の成功により、ピクノジェノールが、糖尿病性網膜症、黄斑やその他の要因による眼の出血のような、広く蔓延している加齢に伴う眼の疾病に対して、有益な効果があることが示された。これらの結果から、ピクノジェノールが発症を遅らせることが期待されるため、治療に有効であることに加えて、予防としても使用できるといえる。
毛細血管を強化し、フリーラジカル(活性酸素)に対する防御を同時に行ないながら、ピクノジェノールは、眼の健康の基礎を提供する。
さらに水溶性のピクノジェノールをルティンや補酵素QlO(ubichinon)のような脂溶性の抗酸化物質と配合して使用することで、より広範囲にフリーラジカル(活性酸素)を消去し、眼の健康が更に改善されることが期待できる。

参考文献:

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extract rich in polyphenols increases plasma antioxi-dant capacity and alters the plasma lipoprotein profile.Lipids.37,931−934(2002)
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bovine retinal tissue.Qphtalmic Res.31,407-415(1998)
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5)Gabor M, Engi E, Sonkodi S.:Die Kapillarwan−dresistenz und ihre Beeinflussung durch wasseloslidhe Flavonderivate bei spontan hypertonis−chen Ratten.Phlebologie.22,178-182(1993)
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8)Magnard G.:Interet du tetrahydroxy flavanne diol enophtalmologie en particulier dans le retinopathie
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ピクノジェノールの局部および経口投与による下肢部潰瘍治療

慢性的静脈不全(ChronicVenouslnsuthciency)にかかると、毛細管庄が上がるため、静脈性高血圧症(Venous Hypertensive Angiopathy)と呼ばれる局所的微小循環障害にかかりやすくなる。
 この静脆性高血圧症は、皮膚細胞の栄養不良や酸化を引き起こす。
局所的に妨げられた微小循環の結果として起こる組織の低かん流により、細胞への酸素供給は不十分となり、最終的に細胞は死んでしまう。
 この皮膚細胞の壊死の過程において、潰瘍が発生し、下肢部から皮膚がはがれ、保護されなくなった組織は感染し、その患者は極度に治癒しにくく、むき出しで無防備な組織は傷つき、いわゆる‘むき出しの足’という状態になる。
 ピクノジェノールは、慢性的静脈不全の兆候(Petrassiら 2000、Arcangeil 2000、Koch2002、Ric-cioniら 2004)および長時間フライト中の静脈にかかる高圧力により起こる浮腫形成(Belcaroら2004)を抑制する効果がある事が認められているため、今回、実際に慢性的静脈不全および下肢部の潰瘍形成にかかっている患者達を対象に臨床研究が行われた。


ピクノジェノールによる足のむくみと深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)の緩和

足のむくみ、足が重い感覚、夜間引き起こす痘攣は、病気とはいわないまでも不快である。
この不快は終日立った状態、あるいは固定された姿勢のまま座って仕事をしなくてはいけない中年女性にしばしば見られる。
それは下肢の動作が悪くなることで下肢血圧が高まり、その下肢血圧によって、毛細血管から細胞組織内に水分が押し出されることに起因する。
細胞組織内での高い水分保持は、足のむくみを引き起こし浮腫を形成する。
これは慢性静脈不全の場合に見られるような静脈が正常に働かない時に度々起こる。
慢性静脈不全を患っている主として女性患者の場合においては、下肢のむくみや足の重みといった穏やかな兆候がまず見られ、その後足の痛みや痘攣を引き起こすのである。
さらに運動の欠如や高血圧といった状態が続くと、下肢の細胞組織が損傷し炎症を引き起こしやすい。
最終的には微小循環が破壊され、細胞組織は酸素や栄養素を十分に与えられず壊死する。
そして慢性静脈不全の末期には、悪性の潰瘍が下肢に形成されるようになる。
 このような問題を回避するためにも、初期段階でのどクノジュノールの摂取は静脈障害を回避したり、生清の質そのものを改善したりと非常に効果的で、多くの女性の助けとなるだろう。
 ピクノジュノールは破れた毛細血管を塞ぎ、浮腫の形成を防ぐ(Blaszoら、1997)。
そして、さらにピタノジェノールは微小循環を改善し(Wangら、1999)、抗炎症剤としての役割を果たす(Rohde−wald,2002)。